災害医療支援体制
災害拠点病院の指定
当院は千葉県の地域災害医療センター(平成21年8月10日指定)であり、院内での防災対策を進めると同時に様々な対外的な災害医療活動を実践しています。
DMAT指定医療機関の指定
当院は、DMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療チーム)指定医療機関(平成22年2月19日指定)です。DMATとは、大規模災害が発生した時に急性期の医療活動を行うための専門的訓練を受けた医療チームのことです。現在では、現場での救急医療活動だけではなく、被災地の病院を支援する活動や、被災地外に重症患者を搬送する広域医療搬送など、機動性・専門性を生かした多岐にわたる医療活動を行います。
市内災害現場への医師派遣(ラピッド・レスポンスカー)
平成21年6月1日、当院は浦安市と協定を結び、市内で大事故が発生して、多くのけが人がでた場合や、車の下敷きなどにより救出に時間を要する場合などには、当院医師が救急車に同乗して事故現場に駆けつけ医療活動を行う体制をとっています。
地域の災害医療連携
当院は、災害発生時に円滑かつ効率的な医療活動ができるよう、千葉県東葛南部地域の救急隊員や近隣の医療施設などの関係機関と医療連携を積極的に推進しています。特に近隣の大型リゾートとは地域連携を結び、リゾート内で発生した多くの傷病者を当院に収容するとともに、当院医師がテーマパーク内の救護室に駐在することにより、トリアージや応急処置を含む的確なプレホスピタル(病院前)ケアを提供しています。
院内対策
当院における災害関連組織
- BCM運営委員会:BCPの策定とBCMの実施、災害マニュアルの更新、防災整備計画、研修・訓練の企画・事後検証、審議事項などの報告と決議を行います。
- 自衛消防隊会議:院内訓練(防火・防災)、備蓄品の管理、防災施設の定期点検など、主に院内災害対策を行います。
- 災害医療派遣調整会議:DMATや医療救護班の管理、院外訓練、行政や関連機関などとの連携、広報活動など、主に院外災害対策を行います。
- 災害対策本部会議:災害発生時に病院長を本部長として招集され、当該の災害対策全般を行います。
- 自衛消防隊:火災や災害の発生時に、通報・連絡や初期対応、避難誘導などを行い、被害を最小限に止めます。
- DMAT:県や国の養成時に災害現場に派遣され、急性期の医療活動を行います。
- 医療救護班:災害救助法などに基づく要請時に編成され、災害現場で亜急性期の医療活動を行います。
院内災害訓練
当院では、参加者に危機意識・興味を持たせるために、リアリティーを追求したブラインド型の災害訓練を行っています。シミュレーションの主な教材として、スウェーデンで開発されたエマルゴトレーニングシステムを使用しています。また、訓練目標を明確にした上で、反省点を次回に反映させるため、徹底的な事後検証を行います。
[過去の災害訓練]
令和4年度訓練(令和5年3月4日)
目的:災害対策本部の立ち上げ実施方法と役割を理解する。
内容:災害対応マニュアルに準じた本部立ち上げの実施について、テーマに応じたグループディスカッションを実施。
講師:松田繁(順天堂浦安病院救急診療科先任准教授)
令和3年度訓練(令和4年3月18日)
目的:災害拠点病院としての役割を理解する。
内容:①大規模災害時の医療と当院の役割について
講師:岡本健(順天堂浦安病院救急診療科教授)
②災害対応マニュアル改訂の解説について
講師:松田繁(順天堂浦安病院救急診療科先任准教授)
③DMATの役割について
講師:廣瀬正人(6D病棟)
令和2年度訓練(令和2年10月3日)
目的:新興感染症対策として当院で導入を検討している「教職員・患者の遠隔健康管理システム」の体験
内容:新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、時間を短縮し、リアルタイムのオンライ ンセミナー形式で開催
講師の方々(NTTデータCCS)からZoomアプリを使用し、「教職員・患者の遠隔健康管理システム」についてデモンストレーションを実施。
協力:NTTデータCCS
平成30年度訓練(平成31年5月25日)※平成31年3月より延期
目的:(1)「夜間・休日緊急連絡網」の実効性を検証する。
(2)各部署における緊急連絡網の実効性を検証する。
①各部署連絡網の整備
②各部署連絡網の手段と効果の確認
内容:教職員参集訓練
緊急連絡網を受けた所属長は、各部署における緊急連絡網を実施し、BCPに基づ いて「病院から5Km圏内に在住の教職員」の病院参集を実施する。
平成29年度訓練(平成30年3月3日)
目的:BCPの策定およびBCMの運用について講義およびグループワークを行い、自分の役割やBCMの重要性、BCMに必要な10の専門業務について理解する
内容:①講義:真剣に取り組むべき事業継続(BCM)
特別講師:長瀬 貫窿(一般財団法人DRIジャパン 理事長)
②講義:東日本大震災で被災した当院の活動報告
講師:川島 徹(順天堂大学浦安病院事務部長)
③BCMに取り組むためのグループワーク
講師:岡本 健(順天堂大学浦安病院救急診療科教授)
協力:(一財)DRIジャパン
平成28年度訓練(平成29年3月4日)
目的:近隣遊園施設での多数傷病者発生に対する初期対応
内容:①災害医学概論・グループディスカッション
講師:福本祐一(順天堂大学静岡病院救急診療科助教)
②机上訓練:コードイエロー発令から多数傷病者の収容
協力:船橋市立医療センターDMAT
平成27年度訓練(平成28年3月5日)
目的:近隣遊園施設での多数傷病者発生に対する災害対策本部運営
内容:①東日本豪雨災害における当院DMATの活動報告
講師:福本祐一(順天堂大学静岡病院救急診療科助教)
②グループディスカッション:首都直下地震発生時の病院対応
③机上訓練:重症患者の避難(院外転送)
平成26年度総合災害訓練(平成27年3月7日)
目的:近隣遊園施設での多数傷病者発生に対する災害対応
内容:①災害対応マニュアル改訂部分の検証
②ゼロからの災害対策本部立ち上げを実施
③患者受け入れから転送までの運用を机上訓練
④デジタル無線による周辺医療機関との情報連携
平成25年度総合災害訓練(平成25年11月30日)
目的:地震発生中および発生直後における個人・各部署における行動の確認
内容:①各部署において作成した「初期対応手順書」の問題点を抽出する
②発災直後の初期手順の確認
平成24年度総合災害訓練(平成25年2月23日)
第一部講演:災害医療の基礎知識
特別講師:岡本健(順天堂大学静岡病院救急診療科教授)
第二部訓練:首都直下地震発生時の初期対応および多数傷病者の収容
協力:順天堂大学医療看護学部
平成23年度総合災害訓練(平成24年3月3日)
第一部講演:3.11東京ディズニーリゾートで起きたこと-防災体制と行動指針-
特別講師:早川清敬(オリエンタルランド・セキュリティ部長)
第二部訓練:首都直下地震発生時の初期対応および多数傷病者の収容
協力:浦安市消防本部
平成22年度総合災害訓練(平成22年9月4日)
アクションカードを用いた病院エマルゴ演習
特別講師:中田康城(市立堺病院高度救急・災害医療担当部長)
平成21年度総合災害訓練(平成21年9月4-5日)
第一部講演:トリアージ
講師:岡本 健(順天堂大学浦安病院救急診療科教授)
第二部訓練:爆発事故を想定したエマルゴ演習
特別講師:橋口尚幸(島根大学救急医学教授)
平成20年度総合災害訓練(平成20年9月5-6日)
第一部講演:災害医療総論~今そこにある危機に備えて
講師:岡本 健(順天堂大学浦安病院救急診療科教授)
第二部訓練:多数傷病者対応のためのエマルゴ・トレーニング
特別講師:中田康城(鳥取大学救急災害医学分野准教授)
DMAT活動
災害時活動の他、日常活動として、発生が懸念されている首都直下地震やテーマパーク内事故など、千葉県内外の大規模災害を想定して備品や体制の整備と訓練を行っています。また、隊員の1名は千葉県統括DMATに認定されており、複数のDMATの指揮、調整業務を行うDMAT本部長としての役割を担っています。
[過去の災害派遣実績]
東日本大震災の対応
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、震度5強の大きな揺れが発生し、周辺地盤の液状化現象により当院では一時断水という事態となりましたが、病院長以下教職員が一致協力し、自衛隊や近郊からの給水援助を受け、休診することなく診療活動を継続しました。
また、県知事の要請を受け、被害の甚大であった東北地方の医療支援を行うため、DMATおよび医療救護班の派遣を行いました。
それらの活動の詳細については、こちらをご参照ください(リンク)
浦安病院DMATの派遣 | 医療救護班の派遣 | |
---|---|---|
要請者 | 千葉県知事 | 千葉県知事 |
期間 | 2011年3月11日~3月13日 | 2011年3月25日~4月9日 |
人員 | 3名 | 16名 |
場所 | 福島県福島空港 | 宮城県南三陸町・登米市立佐沼病院 |
内容 | 重症患者の広域搬送 | 避難所の救護・後方病院の支援 |
東日本大震災DMAT・医療救護班派遣(平成23年3月11-4月9日)
場所:福島県福島空港・宮城県南三陸町・登米市立佐沼病院
内容:重症患者の広域搬送・避難所の救護・後方病院の支援
(詳細は別項参照)
茨城県豪雨災害(平成27年9月11-12日)
場所:筑波メディカルセンター
内容:本部活動。鬼怒川決壊により孤立した病院より入院患者32名を救出・分散搬送
台風15号(平成31年9月9-11日)
医療救護班の派遣(医師3名、看護師4名、事務員2名)
場所:永野病院、千葉労災病院、千葉大学医学部附属病院、千葉中央外科内科病院、泉中央病院
内容:ライフライン途絶に伴う病院スクリーニング、患者さんの避難支援、通信支援、物資補給要請
能登半島地震の対応
2024年1月1日に発生した能登半島地震に伴い、千葉県より5次隊の派遣要請を受け14日に輪島市保健医療調整本部へ参集し、本部での当直対応を実施。翌日からは道路の破損状況や積雪に伴い、単独での移動が危険との指示により、自衛隊先導のもと町野地区にある東陽中学校へ向かい、現地の医療スタッフや消防、市の職員と協力し避難所内の活動に従事した。
東陽中学校と併設されている町野小学校には併せて300名を超える避難者がおり、長期化する避難生活の中で入院が必要となった方の搬送調整や、東陽中学校内に臨時に設置された薬局のサポート、市の職員と同行し体調が悪化した方の自宅への訪問、夜間の避難所内見廻り等の対応を実施。また、本部と現地スタッフ参加によるZoom会議「WADORO」を随時実施し、必要なニーズの把握や情報共有を行った。
DMATの派遣 | |
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要請者 | 千葉県知事 |
期間 | 2024年1月13日~1月17日 |
人員 | 5名 |
場所 | 輪島市保健医療調整本部(輪島市役所) 東陽中学校 |
内容 | 避難所内で入院が必要となった方々の病院搬送調整 薬剤師業務のサポート 歩行不可能な高齢者宅への訪問 避難所の夜間見廻り オンライン(zoom)を利用し、他DMATチームや地域医師との合同会議 など |
[浦安病院DMATが参加した主な訓練]
多数傷病者発生事案連携訓練(平成31年1月22日)
場所:オリエンタルランド
内容:2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に伴う、テロ・集団殺傷を念頭におき、多数傷病者対応・事業者、病院、消防との連携強化を目的とした訓練へ参加
平成30年度千葉県国民保護図上訓練(平成31年1月21日)
場所:幕張メッセ国際展示場
内容:幕張メッセ国際展示場で爆発物事案による多数傷病者が発生。多数傷病者への対応を目的とした訓練へ参加
平成30年度DMAT関東ブロック訓練(平成30年12月8日)
場所:順天堂大学医学部附属浦安病院、オリエンタルランド
内容:千葉県北西部を震源とする地震を想定したブラインド方式での訓練に参加。当院へ参集したDMATチームへの対応やオリエンタルランドへDMATチーム派遣を行った
平成30年度特殊災害対応訓練(平成30年10月25日)
場所:千葉商科大学
内容:東京オリンピックなど国際的なイベント開催を控え、テロ等不測の事態が発生をした場合に多数傷病者対応等を目的とした訓練へ参加
平成30年度浦安市総合防災訓練(平成30年8月26日)
場所:美浜北小学校
内容:浦安市が災害発生時に行政・防災機関との連携や、市民の自助・共助体制の強化を目的として実施している訓練へ参加
平成30年度大規模地震時医療活動訓練(平成30年7月23日)
場所:高松空港参集拠点本部、徳島県立三好病院
内容:南海トラフ地震を想定し、大分・宮崎・愛媛・香川・高知・徳島を被災地と想定した訓練へ参加。民間航空機を利用し高松空港へ参集、その後三好病院へ移動し病院支援を行った
平成29年度大規模地震時医療活動訓練(平成29年7月29日)
場所:大阪医療センター
内容:三重、和歌山で最大震度7の南海トラフ地震が発生したとの想定の訓練で、桑名ICに参集し、大阪市北部東部DMAT活動拠点本部(大阪医療センター)に派遣され、病院支援活動や、周囲医療機関の情報収集・EMIS代行入力等の活動を行った
平成29年度千葉県国民保護図上訓練(平成29年5月29日)
場所:千葉県庁防災危機管理センター
内容:大規模イベント開催中の幕張メッセにおいて化学剤が散布され、多数の死傷者が発生したという想定のもと、千葉県警、千葉市消防、自衛隊、千葉DMAT代表が連携して図上対応訓練を行った
平成28年度DMAT関東ブロック訓練(平成28年11月26-27日)
場所:川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター
内容:埼玉県深谷断層帯・綾瀬川断層地震(M8.1、最大震度7)の発生により被災した想定で、関東地方のDMATによる密接な連携による医療搬送等の実動訓練
平成28年度浦安市川合同多数傷病者事故対応訓練(平成28年10月21日)
場所:東京地下鉄深川検車区
内容:踏切での電車と車両の衝突事故を想定した多数傷病者対応訓練。市川浦安消防と警察、東京メトロ、東京ベイDMATチーム、順天堂大浦安病院ラピッドカーなどが連携活動を行った
平成28年度浦安市総合防災訓練(平成28年9月25日)
場所:浦安市総合公園
内容:浦安市主催の一般市民を対象とした総合防災訓練のうち、BC災害対応訓練に参加した
平成28年度大規模地震時医療活動訓練(平成28年8月6日)
場所:静岡県愛鷹広域公園
内容:内閣府主催の南海トラフ地震により、山梨県、静岡県、愛知県、三重県に甚大な被害発生を想定した大規模訓練においてSCU活動に参加した
平成27年度DMAT関東ブロック訓練(平成28年1月30-31日)
場所:東京都多摩地域
内容:多摩直下地震を想定し、DMAT参集、参集拠点・DMAT調整本部・DMAT活動拠点本部の運営、地域医療機関などの状況把握と情報共有、病院支援及び地域医療搬送、SCU の設置及び運営等を実施する
平成27年度政府総合防災訓練/広域医療搬送訓練(平成27年9月1日)
場所:順天堂大学浦安病院
内容:首都直下地震を想定しライフラインが途絶した当院からの広域医療搬送訓練
平成26年度DMAT関東ブロック訓練(平成26年11月28-29日)
場所:利根中央病院
内容:群馬県でM7.0地震が発災した想定で、EMIS入力・参集・病院支援訓練を行った。
目標:①EMIS入力100%を目指す。
②地域医療搬送の連絡、調整を実際に行う。
平成26年度浦安市総合防災訓練(平成26年9月28日)
場所:浦安市総合公園
内容:首都直下地震を想定した救助訓練
平成26年度DMAT実機訓練(平成26年9月24日)
場所:航空自衛隊美保基地(米子空港)
内容:SCU立ち上げからDMATによる実機搬送訓練
平成26年度政府総合防災訓練/広域医療搬送訓練(平成26年8月30日)
場所:自衛隊厚木基地(神奈川県)・自衛隊新田原基地(宮崎県)
内容:病院から厚木基地に参集後、自衛隊機にて新田原基地に移動、重症患者を収容し機内活動に従事
平成24年度九都県市合同防災訓練(平成24年9月1日))
場所:江戸川河川敷緑地
内容:首都直下地震を想定した医療救護訓練
平成22年度政府総合防災訓練/広域医療搬送訓練(平成22年9月1日)
場所:静岡空港・自衛隊下総基地
内容:全国のDMAT62チーム(総352名)が参集し、東海地震を想定し、重症患者を被災地から全国に広域搬送する模擬訓練
平成22年度海上災害対応訓練(平成22年2月11日)
場所:千葉県千葉市中央区新港・千葉中央ふ頭
内容:船舶衝突による多数傷病者発生を想定した救助・トリアージ・搬送訓練
平成21年度緊急消防援助隊関東ブロック合同訓練(平成21年11月14-15日)
場所:幕張新都心内造成地・千葉港千葉中央埠頭
内容:大震災を想定した初の「ブラインド型訓練」で千葉DMAT全チームが参加