がん診療について
がん診療連携拠点病院
当院は「地域がん診療連携拠点病院」の指定を受けた病院です。(2008年2月より)
がん診療連携拠点病院とは、2007年4月に施行された「がん対策基本法」に基づき全国どこでも「質の高いがん医療」を提供することを目指して、都道府県による推薦をもとに厚生労働大臣が指定した病院です。 各都道府県で中心的役割を果たす「都道府県がん診療連携拠点病院」と都道府県内の各地域(2次医療圏)で中心的役割を果たす「地域がん診療連携拠点病院」があります。
診療体制や実績
各診療科の体制
手術、放射線治療、薬物療法を効果的に組み合わせた「集学的治療」を提供する体制を整備しています。各学会の診療ガイドラインに準じた標準的治療はもとより、がん患者さんの状態に応じた適切な治療を提供しています。詳しくは、診療科・部門のご紹介をご覧ください。
当院のがん診療の特徴
- 手術支援ロボット「ダヴィンチ」
前立腺がん、消化器がん、肺がんなどに対して実施しています。詳しくはこちらをご覧ください。 - 強度変調放射線治療装置(IMRT)
前立腺がん、頭頚部がんなどに対して実施しています。詳しくはこちらをご覧ください。 - リプロダクションセンター
がん治療の影響により生殖機能の温存を希望される方に対応しています。詳しくはこちらをご覧ください。 - がん遺伝子パネル検査
標準治療が終了した患者さんや、標準治療がない希少がんの患者さんなどに実施しています。いずれも、がん患者さんの誰もが対象とはなるわけではありませんので、主治医へご相談ください。詳しくはこちらをご覧ください。
診療実績
がん診療連携拠点病院として以下を概ね満たす必要があります。当院の実績(2022年1月1日~12月31日)は以下のとおりです。
求められる実績 | 当院の実績 |
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院内がん登録数(入院、外来は問わない自施設初回治療分)年間500件以上 | 1,995件 |
悪性腫瘍の手術件数 年間400件以上 | 1,199件 |
がんに係る薬物療法のべ患者数 年間1,000人以上 | 1,734件 |
放射線治療のべ患者数 年間200人以上 | 486件 |
緩和ケアチームの新規介入患者数 年間50人以上 | 622件 |
薬物療法
外来患者さんを対象に抗がん剤の点滴や注射を行う「薬物療法センター」を設置しています。 専任の医師・看護師・薬剤師が常駐し、安全に治療を受けていただけるよう努めております。詳しくはこちらをご覧ください。
緩和ケア
治療の時期に関わらず、患者さんはもちろんご家族の不安や心配などを和らげ自分らしい生活をおくることができるよう、専門の医療スタッフ(緩和ケアチーム)がお手伝いいたします。詳しくはこちらをご覧ください。
キャンサーボード
がん治療戦略に難渋している症例などに対して最適で標準の治療を提供するために、手術、薬物療法、放射線、緩和ケアなどの専門分野や診療科の垣根を越えて行うカンファレンスです。必要に応じて看護師などの多職種も参加して意見交換を行っています。
セカンドオピニオン
他の医療機関に入院または通院されているがん患者さんを対象に当院の専門医ががんについての診断内容や治療法などに関して助言を行い、今後の治療に関して患者さんが納得して開かれた良い医療を受けられるための参考にしていただくことを目的とする外来です。詳しくはこちらをご覧ください。
地域連携
地域の医療機関から紹介されたがん患者さんの受け入れを行ったり、がん患者さんの状態に応じて地域の医療機関へご紹介を行ったりするなど、地域医療連携を推進しています。
レジメン公開
当院では、レジメン委員会で審査し、承認されたレジメンを登録しています。 ホームページでは、がん医療に関わる医療従事者を対象に、当院で行われているがん化学療法(レジメン)の情報を掲載しています。 公開しているレジメンについては、標準的なものであり、患者さんの状態によって、支持療法や抗がん剤の投与量や投与日程、投与時間は変更される場合があります。
浦安緩和ケア連携カンファレンス
在宅緩和ケアに関する地域連携のさらなる強化を図るため、連携先となる医療機関や居宅介護支援事業所などが一堂に会して情報共有や相互評価を行うため、定期的にカンファレンスを開催しています。
相談窓口や情報発信の状況
がん相談支援センター
がん相談支援センターは、全国の「がん診療連携拠点病院」に設置されているがんに関するご相談の窓口です。
治療や療養生活全般、地域の医療機関情報など当院の患者さんやご家族をはじめ、かかりつけの病院や住まいの地域にかかわらず、どなたでも無料で相談することができます。
がん専門相談員が面談または電話でお伺いいたします。ご相談の内容によっては、専門スタッフと連携いたします。
なお、がん専門相談員は、国が指定した研修を修了し名札に以下のバッジを着用しています。
ご相談の例
相談をしたいときは
面談または電話でお伺いします。
面談での相談を希望される方は、以下の直通電話へご連絡の上、日時を予約してからお越しになることをお勧めします。(即時の対応が難しい場合があります。)
電話での相談を希望される方は、以下の直通電話へご連絡ください。
方法 | 面談 または 電話 |
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利用できる方 | 当院の患者さんやご家族はもちろん、かかりつけの病院や住まいの地域にかかわらず、どなたでも利用できます。 |
問い合わせ | 047-382-1341(直通) |
受付時間 | 月~金曜日 9:00~16:30 土曜日 9:00~12:30 |
相談お休み | 病院休診日 日祝日・第2土曜日・年末年始・創立記念日(5月15日) |
費用 | 無料 |
*あなたの担当医に代わって治療について判断するところではありません。
*あなたがお話した内容を、あなたの承諾なく、他へ伝えることはいたしません。
あおべかサロン
がん患者さんやそのご家族を対象に、つどいの場「あおべかサロン」を年6回開催しています。
患者さんの関心度が高いテーマついて、専門スタッフから情報をお伝えするとともに、参加された皆さん同士で気軽にお話しする機会です。
詳細は随時ホームページや院内の掲示などでお知らせいたします。ぜひお気軽にご参加ください。
2024年度 あおべかサロン年間予定はこちら
・2025年1月10日(金)開催の詳細はこちら
ピア・サポーターズサロンちば
千葉県がんピア・サポーターが、患者さんやそのご家族のがんについての思いや不安、治療や現在抱えている悩みなどを聴いたり、ピア・サポーター自身の体験をお話ししたりする場です。このサロンは、千葉県地域統括相談支援センターと共催で行っています。
参考:ちばがんなび「ピア・サポーターズサロンちば」(外部サイトへ)
就労と家計の個別相談会
がんと診断されて、多くの方が「会社を辞めなくてはいけないのか」、「病名を伝えないと休暇はもらえないのか」など、仕事についての心配をされます。また、治療がある程度ひと段落した後も、職場復帰や経済的な問題などについて悩む方も少なくありません。 治療をしながら仕事を続けるために必要な情報や、医療や介護に関するお金に関するご相談を、社会保険労務士とファイナンシャルプランナーが二人一組となって個別面談形式でお受けしています。 2023年度個別相談会_ポスター>年間の開催予定はこちら(PDF)をご覧ください。
第1回がん医療と職場の架け橋大賞審査会「C2C(Clinic & Company)部門賞」を受賞
2016年11月23日(水・祝)、BCC(がんと就労研究グループ)主催により、がん治療と就労の両立を支援している企業や医療機関などが審査され、医療機関や職場とは違う中立的な立場の相談員とともに、多業種で患者さんをサポートする独創性の高い試みと評価されました。
がん患者さんやご家族が安心して療養生活を送ることができるよう、今後も継続して取り組んでいきたいと思います。
セカンドオピニオン外来
他の医療機関に通院または入院されている患者さんを対象に、当院の専門医ががんについての診断内容や治療法などに関して助言を行います。
今後の治療に関し、患者さんが納得して開かれた良い医療を受けられるための参考にしていただくことを目的とする外来(予約制)です。
がん相談支援センターでは、セカンドオピニオンに関するお問い合わせの対応や、申し込まれた方とセカンドオピニオン外来を担当する医師との日程調整を行っています。
なお、がん以外の病気についてセカンドオピニオンを希望される場合は、地域医療連携室へお問い合わせください。
お申し込みになる前に
まずは、主治医(かかりつけ医)の意見(ファーストオピニオン)を十分に聞き、正しく理解することがとても大切です。
がん相談支援センターでは、病気を正しく理解するための情報収集の方法や医師への質問の仕方など主治医と十分な対話をするための工夫をお伝えしています。
参考:がん情報サービス「セカンドオピニオン」(外部サイトへ)
セカンドオピニオン外来の対象となる方
主治医(かかりつけ医)から病名や治療方針の説明を受けた患者さんご本人の来院を原則とします。入院中などの事情により患者さんご本人が来院できない場合は、ご家族も対象とします。
セカンドオピニオン外来の対象とならないもの
当院での検査や治療をご希望の場合は、セカンドオピニオン外来の対象とはなりませんので、一般外来を受診してください。
また、下記の目的でのお申込みはお受けできません。
- 訴訟などを目的とする場合
(医療ミスがあったかどうかを調べる、過去に行われた治療が正しかったかの確認など) - 既に終了した治療に対する診断
- メンタルクリニックに関連すること
相談時間と料金
相談時間は原則30分、料金は22,000円です。
全額自費(消費税込)となります。(健康保険は適用されません)
料金は、セカンドオピニオン外来が終了した後に会計窓口でお支払いいただきます。
お問い合わせやご予約には料金はかかりません。
ご用意いただく書類
相談者 | 用意する書類など |
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ご本人が来院する場合 |
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本人の了承を得た ご家族のみで来院する場合 |
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上記1と4の用紙は、こちらからダウンロードしてください。 ・セカンドオピニオン外来申込書(PDF) ・同意書様式(PDF) なお、印刷が難しい場合は、郵送でお送りすることもできます。 |
申し込み方法
上記の内容をお読みいただきご了承のうえ、お電話にてご連絡をお願いします。必要書類の準備状況をお伺いします。
その後、ご用意いただいた書類を下記送付先へお送りください。
セカンドオピニオン外来の担当医
お送りいただいた書類は、がん相談支援センター長(医師)が内容を確認し相談の可否とセカンドオピニオン外来を担当する医師を決定いたします。
なお、内容によってはお申し込み後にお断りする場合もございますのでご了承ください。
セカンドオピニオン外来の日時
セカンドオピニオン外来担当医と相談の上、外来日時を決定しご連絡いたします。
ご連絡まで数日かかる場合もございますので、ご了承ください。
その他
申し込みをキャンセルする場合はお早めにご連絡ください。
外来日の変更は、お受けいたしませんのでご了承ください。
相談中の録音・録画はご遠慮願います。
お申し込みの流れ
順天堂大学医学部附属浦安病院 がん相談支援センター
住 所:〒279-0021 千葉県浦安市富岡2丁目1番1号
電 話:047-382-1341(直通)
受付時間:月~金曜日 9時~16時30分 土曜日 9時~12時30分
普及啓発活動
来院される方への各種パンフレットの提供、地域の学校を対象とした「がん教育」、千葉県や浦安市が主催する普及啓発イベントへの協力などを行っています。
パンフレットの提供
病気の解説や医療用ウィッグ等の療養生活に関するパンフレットをご用意しています。がん相談支援センターやがん治療センター等でお渡しできます。
以下のパンフレットは、当院にて製作したものです。
【対象】がんと診断された患者さんやご家族 【内容】相談窓口のご紹介、病気に関する情報を集める際のポイントなどを掲載しています。 ダウンロードはこちら(PDF) |
【対象】薬物療法を受けられる方 【内容】副作用に関する知識、日常生活の工夫などを掲載しています。 ダウンロードはこちら(PDF) |
がん教育
子どもの頃から健康と命の大切さについて学び、自らの健康を適切に管理することはとても重要です。がんについても、正しい知識やがん患者さんへの理解をとおして健康と命の大切さに対する認識を深める「がん教育」の推進が必要といわれています。ご依頼をいただいた市内の小中学校に医師がお伺いして、病気のあらましや生活習慣と予防などについて講演を行っています。
浦安市などが主催する啓発イベントへの協力
平成31年1月に施行された「浦安市がん対策の推進に関する条例」により、がん診療連携拠点病院としてさらなる役割の発揮を期待されており、各種イベントなどへの協力も積極的に行っています。
院内がん登録
病院で診断されたり治療されたりしたすべての患者さんのがんについての情報を診療科問わず病院全体で集め、その病院のがん診療がどのように行われているかを明らかにする調査です。これは平成25年法律第111号がん登録などの推進に関する法律(平成28年1月1日施行)および院内がん登録の実施に係る指針(厚生労働省告示第470号)に基づき行われものです。がん診療連携拠点病院は「院内がん登録」を行うことが指定の要件とされており、患者さんのがんの診断、治療に関する情報について登録を行っています。登録した情報は、氏名などの個人が特定できる情報を取り除いた形でがんの統計・分析などに利用されます。
当院の登録情報の詳しくはこちら(PDF)をご覧ください。
参考:がん情報サービス「がん登録>院内がん登録」(外部サイトへ)
予後調査について
院内がん登録では、登録後の健康状態を確認するための追跡調査を定期的に行っています。通院状況や退院時の情報で予後が把握できなかった場合には、国立がん研究センターを通じて市区町村への住民票照会を行います。調査を希望されない場合は、その旨をお申し出ください。その場合でも、診療に関しての不利益が生じることは一切ございません。皆さまのご理解とご協力をお願いいたします。
医療従事者への研修会など
院内をはじめ地域のがん診療に携わる医療従事者を対象とした各種研修会を開催しています。
緩和ケア研修会
「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針」(平成29年12月1日付け健発1201第2号厚生労働省健康局長通知)に基づいてがんなどの診療に携わる全ての医療従事者が基本的な緩和ケアについて正しく理解し、緩和ケアに対する知識や技術、態度を修得することを目的として開催しています。
研修会のお申し込みについて
研修会当日の2か月前から募集を開始しています。
臨床研究・調査研究
政策的公衆衛生的に必要性の高い調査研究に協力しています。また、臨床研究については、臨床研究法(平成29年法律第16号)に則った体制を整備しています。詳しくはこちらをご覧ください。
がん診療均てん化のための臨床情報データベース構築と活用に関する研究実施のお知らせ
PDCAサイクルの確保
当院のがんに関する診療機能や診療実績、地域連携に関する実績や活動状況のほか、がん患者さんの療養生活の質について把握・評価し課題認識を院内関係者で共有した上で、組織的な改善策を講じています。千葉県では、千葉県がん診療連携協議会などで県内にある各がん診療連携拠点病院などと情報共有や相互評価を行っています。
がんゲノム医療連携病院
当院は、国立がん研究センター東病院(がんゲノム医療中核拠点病院)と連携する「がんゲノム医療連携病院」の指定を受けた病院です。(2020年1月より)
がんゲノム医療とは、主にがんの組織を用いて多数の遺伝子を同時に調べ(がん遺伝子パネル検査)、遺伝子の変異を明らかにすることにより、患者さんの体質や病状に合わせて治療などを行う個別化医療です。
全国どこでもがんゲノム医療が受けられるよう厚生労働省は、「がんゲノム医療中核拠点病院」や「がんゲノム医療拠点病院」、「がんゲノム医療連携病院」を全国の病院に指定しています。
がんゲノム医療とは
正常の細胞は、核の中に設計図であるゲノムというものを持っています。このゲノムの中でタンパク質を作る部分を遺伝子と呼び、遺伝子には2万あまりの種類があることが分かっています。この遺伝子に傷が入り変異を起こし、それが積み重なることががんの原因と言われています。近年、がんの原因となっている複数の遺伝子を一度に調べることのできる「がん遺伝子パネル検査」という検査が登場しました。遺伝子の変異に応じて薬物治療(抗がん剤)の選択の補助に用いることができるようになってきています。これを、がんゲノム医療と呼び、個々の患者さんのがんの性質に合わせた治療、すなわち「がんの個別化医療」のひとつです。
参考①:がんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査(外部サイトへ)
参考②:がん情報サービス「がんゲノム医療 もっと詳しく知りたい方へ」(外部サイトへ)
がん遺伝子パネル検査
検査対象となる方
- 固形がん(血液のがんは除く)
- 標準治療がない希少がん
- 局所進行もしくは転移があり、標準治療が終了した(終了見込みを含む)
上記1~3のいずれかに該当し、次の新たな薬物療法を希望する場合に検討します。また、全身状態などの条件もありますので、がん患者さん誰もが対象となるわけではありません。
検査に期待できること
検査の結果、遺伝子変異が見つかった場合、その遺伝子変異に対応した薬があれば臨床試験などでその薬を使用することを検討できます。
検査の留意点
検査の結果、遺伝子変異が見つからない場合もあります。治療選択に役立つ可能性がある遺伝子変異は、約半数の患者さんで見つかります。遺伝子変異があっても使用できる薬がない場合もあります。自分に合う薬の使用(臨床試験を含む)に結びつく人は、全体の10%程度といわれています。
ゲノム情報の管理
保険診療として行うがん遺伝子パネル検査の結果と臨床情報は、患者さんの同意に基づき「国立がん研究センター がんゲノム情報管理センター(C-CAT)」に集められ、大切に保管されます。その情報は、ご本人の今後の治療や診断のみならず、ほかの患者さんのよりよいゲノム医療のためにも貴重な基盤データとなります。また、適切・公平な手順で、国内外の研究者によるがんの新しい治療開発などの研究のためにも活用されます。
当院でがん遺伝子パネル検査を受けたいときは
患者さん・ご家族の方へ
がんの遺伝子センター(がん治療センター内)に専門外来を設置しています。当院におかかりの場合は、主治医へご相談ください。他の医療機関におかかりの場合は、現在通院中の医療機関からの予約が必要になりますので、主治医の先生とご相談ください。
ご紹介くださる医療機関の方へ
当院でのがん遺伝子パネル検査をご希望の場合は、がんの遺伝子センターホームページ(がん治療センター内)をご覧ください。
お問い合わせ
「がん遺伝子パネル検査について」とお伝えください。
順天堂大学医学部附属浦安病院 がん治療センター
電 話:047-353-3111(代表)
受付時間:月~金曜日 9時~16時30分 土曜日 9時~12時30分