臨床工学室
臨床工学室の理念
- 医療機器の安全性と信頼性の維持
- 医療機器運用の効率化
- 高度な臨床技術提供
に努める。
臨床工学技士とは?
臨床工学技士は、厚生労働大臣の免許を受けて、臨床工学技士の名称を用いて、医師の指示の下に、人の呼吸、循環又は代謝の機能の一部を代替し、補助する生命維持管理装置の操作(生命維持管理装置の先端部の身体への接続又は身体からの除去であって、政令で定めるものを含む。)および保守点検を行うことを業とする者の資格して定められました。
生命維持管理装置をはじめとする医療機器は今日の医療に欠かせない存在であり、24時間365日、院内各部署で数多く使用されています。私たち臨床工学技士は、医療機器を安全かつ効率よく運用するにとどまらず、日々複雑化する臨床技術に対応し、患者さんをはじめ医師やスタッフらに高度な臨床技術を提供できるよう努めております。
臨床工学室の業務
臨床工学室では医療機器の中央管理(貸出・修理・保守)および血液浄化、心臓カテーテル検査、集中治療(救命センター・集中治療室)などにおいて臨床技術提供を行っております。
業務体型
室 長: | 稲葉博隆 心臓血管外科教授 |
主 任: | 1名 |
メンバー: | 15名 |
※メンバーは4週間で業務をローテーション
業務内容
中央管理業務
病院内の医療機器(心電図モニター、人工呼吸器、輸液ポンプ、シリンジポンプ、パルスオキシメーター、除細動器、心電計など)を一括管理し、貸出、修理、保守を行います。必要とする部署へ必要な台数を貸し出すことにより、医療機器運用の効率化を図ります。また、故障や取り扱い方法など、医療機器に関する窓口を中央管理業務に集約させております。専任スタッフが医療機器を管理運用することにより、医療機器の安全性と信頼性を維持します。
血液浄化業務
血液浄化装置および周辺機器の操作(シャントへの穿刺等を含む)や保守等を行います。血液透析(HD)では、透析装置と周辺機器がオンライン化され、業務の安全と効率化が図られています。HD以外では血漿交換(PE)や各種血漿吸着(PP)、潰瘍性大腸炎等における白血球吸着除去療法(LCAP)(GCAP)等の特殊な血液浄化法、難治性腹水症に対する腹水濾過濃縮再静注法(CART)等も随時施行可能です。
臨床技術提供
心臓カテーテル検査室、手術室、救命救急センター、ICU等で技術提供を行います。
心臓カテーテル検査室
心臓カテーテル検査・治療
臨床用多用途測定記録装置(ポリグラフ)を用いて心電図、各部血圧測定記録、血行動態解析等を行います。
心臓電気整理学的検査
ペースメーカー、ICD、CRTD植込み手術におけるプログラマーの操作や各種計測を行っています。また、ペースメーカー外来では作動チェックを行っています。
アブレーション、EPS業務ではスティムレーター(刺激装置)、ポリグラフの操作を行って、心内心電図の変化から不整脈の病変部の特定や、治療効果の判定を行っています。
ペースメーカー外来
週1回植え込み型心臓電気デバイス:CIEDs(ペースメーカーやICD、CRTDなど)の電池残量や電極リード線の状態チェックと患者さんの現在の状態にあわせた最適な設定変更を行っています。チェックは不整脈専門の臨床工学技士が2名で行い、不整脈専門医やCIEDsのメーカー担当者と連携を取って外来を行っています。外来では1回に約30名の患者さんのデバイスチェックを行い、現在は約600名の管理を行っています。
また、患者さんが病院外で不整脈や本体・リード線に異常があった際ネットワーク通信にて知らせてくれる遠隔モニタリングといったシステムの管理も行っています。

手術室
コンピューター誘導下顕微鏡手術(ナビゲーション マイクロサージャリー)
主に脳神経外科手術支援システムの一つで、術前に撮影したMRIやCT画像をナビゲーション装置で処理することで、手術中に現在処置中の位置や進行方向を正確に把握することが出来、安全に手術が行えるシステムです。これにより、脳、神経及び血管を温存できるようになり、また脳腫瘍などの取り残しが少なくなるとされています。私たちはこの装置の操作を担当しています。
術中各種誘発電位測定
脳神経外科や整形外科の手術の際にMEPやSEP、ABRを測定しています。

自己血回収装置
整形外科や心臓血管外科の手術中に出血した血液を清潔下に回収し、分離・洗浄後に患者様の体内に返血する濃厚洗浄赤血球を作成する装置です。
私たちはこのすべての操作を担当します。

手術支援ロボット「da Vinci」
手術支援ロボットであるda Vinci の使用サポートを行っております。

人工心肺装置
心臓の手術では安全に手術を行うために必要に応じて心臓を停止させ、その間機械で心臓と肺の機能を代行させる人工心肺装置を使用しています。
私たちはこの人工心肺装置の準備、操作、保守点検を行っております。

救命センター・集中治療室
大動脈バルーンパンピング(IABP)
IABPは重篤な循環不全(急性心筋梗塞など)に対し、大動脈弓部に留置したバルーンを心臓の拡張期に同期して膨らませることにより、心臓の拡張期圧が上昇し、冠血流が増大する効果があります。
さらに収縮期直前にバルーンをしぼませることにより、左心室からの血液の駆出を補助する効果もあります。このようにIABPはハイリスクのPCIや、PCPSの補助装置として使用されます。
私たちは医師の具体的な指示の下、バルーン作動のトリガーとなる生体信号の入力、バルーン作動のタイミングの微調整等を行います。
血液浄化(CHDF、PE、HD等)
救命センターや集中治療室において長時間の血液浄化を担当しています。
経皮的心肺補助法(PCPS)VA/VV ECMO
VA ECMOは重篤な循環不全等に対し、経皮的にかつ速やかに心臓と肺の補助を行います。
VV ECMOは重篤な呼吸不全に対し、人工肺を使用して肺機能の補助を行います。
どちらも医師と協議の上準備や施行中の管理を行います。
呼吸サポートチーム(RST:Respiratory Support Team)
RSTは医師、看護師、臨床工学技士、理学療法士、歯科衛生士などの多職種が集結し、人工呼吸器を使用している患者さんの「早期離脱」と「呼吸療法の質や安全の向上」を目的として活動しています。臨床工学技士は医療機器の専門家としてチーム医療の一員を担っており、高性能化・多機能化と共に操作や管理が複雑化した人工呼吸器の取り扱いについての指導や、安全管理などを行っています。
各種講習会
医療機器安全使用に基づき人工呼吸器やPCPS、CHDF、IABP等の安全使用講習会を行っています。