お知らせ
2018年4月
森本真司医師が膠原病・リウマチ内科科長補佐に就任しました。
科のご紹介
当科では関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎・多発性筋炎、血管炎症候群、シェーグレン症候群、ベーチェット病などの代表的な膠原病を始め、発熱、持続する関節痛や筋肉痛、皮疹などその原因のはっきりとしない患者さまを数多く診察しています。
“手がこわばる”、“関節が痛む”、“微熱が続く”、“紅班が出る”、などの症状でお悩みの方が他の医療機関の先生方からリウマチや膠原病を疑われて紹介されていらっしゃいます。血液、尿、各種の画像診断など最新の検査を行って、いち早く的確な診断ができるようにしております。
最近の膠原病の治療法の進歩には目を見張るものがあります。例えば関節リウマチの場合、早期に発見し適切な治療を行うことによって病気のコントロールが可能となり、骨の破壊や関節の変形を抑えることができます。
それぞれの患者さまにとって最も良い最新の治療と、心のこもった診察ができるように心掛けております。
当院では5名の膠原病・リウマチの専門医が診療にあたっており、外来の膠原病患者さまは毎月1,500名以上(関節リウマチ症例は約600名前後)で、常時15~25名の患者さまが入院しています。
膠原病は全身的な症状を呈する場合が多く、腎臓、血液、代謝・内分泌科をはじめ消化器内科、呼吸器内科、循環期内科や、整形外科、皮膚科、メンタル科など院内の他科の先生方とも協力して診察を進めるようにしています。
また、日本で初めて膠原病内科を標榜した順天堂大学の附属病院として順天堂医院はじめ順天堂の各病院との経験や知識の交流を深めて、患者さまにとって少しでも良い医療が行えるよう努めております。
当院は千葉県・東葛地域の中心的な病院であり、当科への他医療機関からの紹介患者さまの数も年々増加してきております。
地域の診療所や他の病院との連携を重視し、地域に根ざしたきめの細かい診療が行えるようにしております。
当院では現在、多くの若い医師が臨床研修を行っておりますが、当科では日本リウマチ学会教育施設として認定されており、若い膠原病・リウマチ専門医の育成にも力を入れています。
さらに、当院に隣接する環境医学研究所の先生方、研究員の方々と協力し関節リウマチや全身性エリテマトーデス等の膠原病の病因の解析や、新しい治療法・診断法の研究・開発にも力を注いでおります。
当科では、膠原病の研修や研究を希望される若い先生方を、随時、全国から募集しております。興味のある方はご連絡ください。
当科の詳細についてはこのホームページの各項をご参照ください。
取り扱う主な疾患
主な対象疾患(カッコ内は主な症状)
- 全身性エリテマトーデス (発熱、紅斑、関節痛、蛋白尿など)
- 関節リウマチ (全身の関節の疼痛・腫脹など)
- 皮膚筋炎・多発性筋炎 (筋痛・筋力低下、皮疹など)
- 強皮症 (手指の冷感、皮膚の硬化性変化など)
- シェーグレン症候群 (眼球・口腔内乾燥症状、皮疹など)
- ベーチェット病 (視力障害、口内炎、陰部潰瘍、皮膚膿瘍、関節痛、腹痛など)
- 抗リン脂質抗体症候群 (血栓形成による動・静脈炎、習慣性流産・死産など)
- リウマチ性多発性筋痛症 (急激な筋痛、運動障害、体重減少、うつ気分など)
- 成人発症スティル病 (発熱に伴う皮疹、全身関節痛など)
- 血管炎症候群(発熱、皮疹、咳・息切れ、蛋白尿・血尿など)
以上に挙げた疾患のほかにもIgG4関連疾患など数多くの膠原病、あるいはその類縁疾患があります。
ご覧のようにその症状は様々ですが、いずれも何らかの免疫機能の異常に基づいて起こる疾患と考えられます。
治療について
治療法は各疾患により、またそれぞれの病状によって異なります。免疫異常を改善するという点から、各種の免疫抑制剤・調節剤や副腎皮質ステロイドというホルモン剤を使う場合も多くあります。血液中の異常な免疫物質を除く目的で血漿交換療法を行うこともあります。
関節痛や筋痛に消炎鎮痛剤が有効である場合もあります。
最近の関節リウマチの治療は大きく進歩しており、特に生物学的製剤やJAK阻害剤と呼ばれる薬剤は、従来にない治療効果を発揮しています。また最近では全身性エリテマトーデスに対しても生物学的製剤(ベンリスタ)での治療も行っています。
関節リウマチに広く行われている生物学的製剤(レミケード、エンブレル、アクテムラ、オレンシア、ヒュミラ、シンポ二―、シムジア、ケブザラなど)やJAK阻害剤(ゼルヤンツ、オルミエント)の当院での使用実数は昨年1年間で延べ1400名以上となっており、当院は千葉県内で最も多くの関節リウマチの患者さんを診察し、生物学的製剤を導入している病院の一つです。
いずれにせよ専門医のもとでの治療が必要です。
診療実績
平成29年度 疾患別外来患者数
外来全体の患者さんの43%は関節リウマチ(年間延べ患者数宇1600名以上)の方で、全身性エリテマトーデス(12%)、シェーグレン症候群(16%)、多発性皮膚筋炎(4%)、強皮症(4%)、血管炎(3%)、ベーチェット病(2%)、リウマチ性多発筋痛症(2%)、成人発症スティル病(1%)などの患者さんが通院されています。
平成29年度 疾患別入院患者数
主な入院患者さんは、全身性エリテマトーデス25名(13%)、関節リウマチ23名(12%)、皮膚・多発性筋炎31名(17%)、血管炎29名(16%)強皮症6名(4%)、リウマチ性多発筋痛症11名(6%)、ベーチェット病7名(4%)などです。
外来診療
関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの膠原病の多くは、慢性的に経過することが多く、外来での定期的な経過観察が必要となり、症状に応じてお薬の種類や量も変わることがあります。
また、病気の性格上、皮膚科や眼科、耳鼻科、他の科の診察が必要となる場合もあります。
したがって膠原病の診療では外来での検査や診察が大切です。他院よりご紹介で来院された患者さまも、膠原病の診断のために当院で様々な検査を行う必要があります。患者さまの待ち時間が少しでも短くなるように、効率の良い検査計画をたてるとともに、外来は予約制を取っております。
専門外来などについては、外来日割表をご参照ください。
入院診療
当院では、新研修医制度を導入しており、入院患者さまは、5名の膠原病・リウマチ医が主治医となり研修医とともに診察させていただきます。
当科及び腎臓内科、糖尿病内科、血液内科による内科4科合同病棟回診(火曜日)のほか、膠原病・リウマチ内科のみの病棟回診が週4回行われています。
特に、膠原病は全身疾患であるために、入院後に、眼科、耳鼻科、皮膚科、整形外科、産科・婦人科など他の諸科と一緒に患者さまを拝見する場合があります。
通常の入院のほかに、検査のための短期入院(一週間程度)や、特別な治療(ステロイド・シクロフォスファミド(エンドキサン)パルス療法、血漿交換療法、抗サイトカイン療法など)のための短期入院制度(数日から一週間程度)を積極的に取り入れています。
お願い
入院患者さまは、年間150名前後で、常時15~25名の入院があります。入院に際しては、なるべく患者さまのご希望に沿った日時やお部屋が取れるよう努力しておりますので、入院が必要な場合、ご希望をお知らせ下さい。
スタッフ紹介
科長補佐
森本 真司
(先任准教授)
経歴 | 平成2年3月 順天堂大学医学部 卒業 平成2年6月 順天堂大学医学部附属順天堂医院内科 臨床研修医 平成5年4月 順天堂大学医学部膠原病内科学講座 入局 平成9年3月 順天堂大学大学院医学研究科大学院(膠原病内科学) 卒業 平成15年7月 順天堂大学医学部膠原病内科学講座 助手 平成18年4月 同上 講師 平成19年4月 同上 准教授 平成23年11月 順天堂大学医学部附属浦安病院膠原病内科 先任准教授 |
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専門 |
日本内科学会内科認定医・指導医、日本リウマチ学会専門医・指導医・評議員
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専攻領域 |
膠原病内科学・臨床免疫学
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職位 | 氏名 | 出身大学・専門分野・その他 | |
准教授 | 池田 圭吾 | 順天堂大学卒(平成7年) 【専門】リウマチ・膠原病内科学、臨床免疫学 【資格】日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本リウマチ学会専門医・指導医・評議員、日本リウマチ財団登録医 |
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助教 | 鈴木 智 |
聖マリアンナ医科大学卒(平成19年) |
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大学 院生 |
西 卓也 | 順天堂大学卒(平成26年) 【資格】日本内科学会認定医 |
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大学 院生 |
作間 渉太 | 順天堂大学卒(平成26年) 【資格】日本内科学会認定医 |
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名誉 教授 |
関川 巖 | 福島県立医科大学卒(昭和53年) 【専門】リウマチ・膠原病学 【資格】日本内科学会認定医・指導医、日本リウマチ学会専門医・指導医・評議員、日本リウマチ財団登録医 |
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学会活動/認定施設など
日本内科学会、日本リウマチ学会、日本臨床免疫学会、日本免疫学会
毎年、上記の学会では、臨床・研究演題を発表しています。
そのほかに、日本リウマチ学会総会や日本内科学会地方会、関東リウマチなどの学会で興味ある症例を報告しています。
また、当院は日本リウマチ学会教育施設に認定されており、膠原病・リウマチ専門医の養成病院でもあります。
紹介してくださる先生方へ
最近の膠原病や関節リウマチに対する関心の高まりを反映して、発熱、関節痛、筋肉痛、皮疹、口腔乾燥などを主訴に、当科外来を受診される患者さまは年々増えております。
他院からのご紹介も、千葉県浦安市、市川市、東京都江東区、江戸川区などの先生方を中心に増加の一途をたどっており、当科外来患者数は月に1,500名以上に及びます。
当科では、膠原病や関節リウマチが疑われる場合、最新の診断技術によって精査し、入院および外来での最良の治療を行えるよう心がけております。病態評価のための短期入院や、ステロイドやエンドキサンパルス療法、血漿交換療法、関節リウマチに対する生物学製剤療法など、各種加療目的の短期入院も積極的に行っており、常時15~25名程度の方が入院されております。
膠原病やリウマチの診断、治療法の進歩には目を見張るものがあり、患者さま、先生方のご期待に沿えるよう心がけております。膠原病やリウマチの患者さま、あるいはこうした疾患の疑われる患者さまを一人でも多くご紹介いただければ幸いです。
患者さまをご紹介いただく際のお願い
患者さまをご紹介いただく場合、可能な限り紹介状をお送りいただければと思います。
先生方から、ご紹介いただいた患者さまについては、必ず病態・病状のご報告をさせていただいております。当科外来日、外来医師名は他の項(外来診療)をご参照下さい。
研修医の先生へ
概要:リウマチ・膠原病専門医コース
獲得できる主な資格
日本リウマチ学会;専門医・指導医、日本リウマチ財団:登録医、日本内科学会;総合内科専門医・指導医
対象疾患
膠原病全般(全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性筋炎・皮膚筋炎、強皮症、血管炎症候群、ベーチェット病など)、免疫異常・免疫不全、不明熱など。
研修の目的
膠原病は広範な臨床科にまたがる全身疾患であり、かつ免疫異常をその背景に持つことから、当研修では膠原病の臨床はもとより、内科臨床全般の素養を充実させるとともに、皮膚科・メンタル科など他領域の臨床にも関心を持てるようにする。
病態のより深い把握の為に、疾患の背景にある血清学的、免疫学的な側面にも注意し、理解できるようにする。研修を通じて上記専門医資格の獲得を行う。
獲得すべき事項
• 全身性エリテマトーデス、関節リウマチなど代表的膠原病疾患の病棟・外来での診療経験
• 自己抗体など、免疫・血清学的な所見の理解
• 膠原病に必要な診断方法(各種画像検査・特殊検査など)の理解
• 論文・文献の抄読、症例の学会発表及び論文での発表
• 臨床を通じての臨床的・基礎的研究への関心とその実施
(順天堂環境医学研究所等を利用し希望者には、PCR、ELSA、FACS、DNA診断法、遺伝子・タンパク質解析などの各種診断技術・研究手技を指導します)
週間予定例
午前 | 午後 | 夜 | |
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月曜 |
膠原病病棟回診 |
病棟・外来 | |
火曜 |
膠原病内科病棟回診 |
内科4科合同病棟回診・医局会 | 研修医症例発表会(毎月1回) |
水曜 |
膠原病内科病棟総回診 |
病棟・外来 | 研究会・抄読会(環境医学研究所内) |
木曜 | 病棟・外来 | 病棟・外来 | |
金曜 | 病棟・外来 | 病棟・外来 | |
土曜 |
膠原病内科病棟回診 |
医学研究
膠原病・リウマチ内科では、後期研修医の性差・環境医学研究所などでの研究活動を積極的に薦めています。
また、より充実した研究活動の遂行のために大学院に入学することも可能です。
上記の専門医取得とともに、医学博士号の取得を重視しています。