2025年10月16日(木)
最新の心房細動に対するカテーテルアブレーション、 パルスフィールドアブレーションによる左心房後壁電気的隔離術を開始しました。
カテーテルアブレーションは、近年心房細動に対する非薬物療法として確立しており、その基本は肺静脈電気的隔離術です。これは左心房に開口する4本の肺静脈から発生する異常な電気信号(=心房細動の原因)が左心房に伝搬しないようにする方法で、発作性心房細動(心房細動が長くても1週間で自然停止、正常な脈に回復する)では肺静脈電気的隔離術のみで比較的良好な治療成績を示しています。しかしながら持続性心房細動(心房細動が1週間以上持続している)では肺静脈電気的隔離術のみによる治療効果は限定的であり、これは特に持続性心房細動では左心房後壁(4本の肺静脈で囲まれた左心房の背面の壁)も心房細動の発生・維持に深く関与するとも言われており、左心房後壁電気的隔離術の追加が持続性心房細動の治療成績向上に寄与すると考えられています。
当院では昨年より心房細動に対する最新のカテーテルアブレーションシステムとしてパルスフィールドアブレーション(PFA)を導入、安定して稼働しております。PFAは高電圧の電場(パルスフィールド)を用いるカテーテルアブレーションで、特徴は心筋に対する高い組織選択性であり、また焼灼や冷凍凝固といった熱エネルギーに依存しないため食道や心臓周囲の神経など心臓外への影響が極めて少ないことです。これまで我が国ではPFAは肺静脈電気的隔離術のみに使用が可能でしたが、2025年10月よりPFAによる左心房後壁電気的隔離術の施行もその安全性・有効性が確認され認可されました。今後当院では、必要な患者様にはPFAによる肺静脈電気的隔離術のみならず左心房後壁電気的隔離術を併施することを方針に、患者様に最適な心房細動のカテーテルアブレーションを行ってまいりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
順天堂大学医学部附属浦安病院 循環器内科 科長 戸叶隆司