2025年08月19日(火)
リプロダクションセンター
PGT A(着床前胚染色体異数性検査)およびPGT SR(着床前胚構造異常検査)導入のお知らせ
このたび、当院では、体外受精/顕微授精・胚移植における妊娠率の向上および流産率の低下を目的として、日本産科婦人科学会の承認を得てPGT‑A(着床前胚染色体異数性検査)およびPGT‑SR(着床前胚染色体構造異常検査)を導入いたします。
検査の概要
- PGT A(Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy:着床前胚染色体異数性検査)は、胚(受精卵)の染色体数の過不足を移植前に遺伝子解析技術を用いて評価し、妊娠率の向上や流産リスクの低減を目的とする検査です。
- PGT SR(Preimplantation Genetic Testing for Structural Rearrangements:着床前胚染色体構造異常検査)は、夫妻のいずれかに染色体の構造的な異常(均衡型転座、ロバートソン転座など)があることが原因と推定される反復流産を認めた場合に適応され、不均衡胚の移植を避け流産リスクを下げるための検査です 。
適応となる患者さん
- PGT A:
・体外受精/顕微授精による胚移植の反復不成功(2回以上)経験のある方
・2回以上の反復流産(胎嚢確認後の流産または死産)を経験された方 - PGT SR:
・ご夫妻のいずれかに染色体構造異常(均衡型転座、ロバートソン転座など)が認められ、反復流産を経験された方
本検査で期待されるメリット
- 胚移植あたりの妊娠率が向上する
- 流産リスクの減少する
- 出産率向上および初回妊娠までの期間が短縮される
リスク・留意点
- 胚盤胞の細胞生検によりダメージがおよぶ可能性や、解析精度の限界により誤判定や判定不能となるリスクがあることをご了承ください。
- 本医療は保険適用外であるため、胚盤胞作製のための採卵・胚培養に関する費用・検体解析費用・胚移植に関する費用は全額実費となります。以前に保険診療で作成した胚は解析の対象外となります。
検査の流れ
- 当院に来院される前に日本産科婦人科学会作成の PGT A・SR説明動画 をご視聴の上、「動画視聴確認シート」にご記入いただきご持参ください。
リンク:不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-A・SR) – 公益社団法人 日本産科婦人科学会
PGT-A・SR動画視聴確認シート - 検査前のカウンセリングで夫婦の同意書を提出いただきます。PGT-A・PGT SRはいずれも臨床遺伝専門医による遺伝カウンセリングが必要となります。カウンセリングは自費診療で1回あたり税込み5,500円です。
- 同意書を取得後、採卵周期に入り体外受精もしくは顕微授精を実施します。
- 胚盤胞の栄養外胚葉(将来胎盤になる予定の細胞)の細胞を5-10個程度生検し、胚を凍結保存します。検体は外部の機関(ファルコバイオシステムズ)で解析されます。なお、解析費用は1検体(胚盤胞)あたり税込み77,000円です。
- 約2週間後に解析機関結果が届き、検査後カウンセリングのうえ、移植可能な胚盤胞を選択します。
- 胚移植周期に移植可能な胚盤胞を凍結融解胚移植します。
初診外来について
- 初診外来は毎週木曜日午後3時から4時の予約制となります。夫婦でのご来院をお願いします。なお、学会出席や休暇により休診となることがあります。
- PGT-SR(着床前胚染色体構造異常検査)適応の患者様を紹介いただく際は、診療情報提供書に夫婦の染色体検査結果と遺伝カウンセリングを実施された場合は遺伝カウンセリング報告書を同封していただくようお願い申し上げます。
お問い合わせ先
順天堂大学医学部附属浦安病院 産婦人科外来:月~金9:00~16:00
℡ 047-353-3111