2021年01月04日(月)
北村庸雄医師が消化器内科教授に就任しました
ごあいさつ
2021年1月1日付で消化器内科教授を拝命いたしました。私は1984年に大学を卒業し、順天堂医院での内科研修を終えた後に消化器内科に入局し、以来肝臓病学を中心に診療をして参りました。当時、慢性肝疾患の多くは未知のウイルスによるものと考えられていて、その正体が分かったのは1989年になってからのことです。C型肝炎ウイルスと呼ばれるようになったそのウイルスにはインターフェロンという治療薬が使われましたが、その効果は期待されたほどではありませんでした。
私が当院に着任した2004年には、ようやくC型慢性肝炎に対する新しいインターフェロン治療が可能となりました。当時は画期的であったその治療も今思えば十分とは言えず、また、副作用との闘いの連続でもありました。そしてその後10年を経て初めてインターフェロンを用いない「インターフェロン・フリー治療」が認可され、現在では副作用もほとんど無く、95%以上の方にウイルスの排除が可能となりました。2020年のノーベル医学生理学賞がC型肝炎ウイルスの発見に対し授与されたのは記憶に新しいところです。
これまで肝がん(肝細胞がん)の原因の多くはC型肝炎ウイルスと考えられていました。従ってC型肝炎ウイルスの治療が確立したら肝がんは激減するであろうと考えられていたのですが、必ずしもそうではないことが最近分かりつつあります。C型肝炎ウイルスが原因の肝がんが減っていく一方で、原因がC型肝炎ウイルスでもB型肝炎ウイルスでも飲酒でもないという肝がんに対する関心が高まっています。
肝がんに対する治療は急速に進歩しており、昨年だけで新しい分子標的治療薬がいくつか認可されました。肝がんをどのようにして早く発見し、適切な治療に繋げていけるかが今後の課題であり、肝機能検査に異常があった場合にはまず受診するのが大切であるということを、一人でも多くの方に理解していただけるよう願っています。
プロフィール
浜松医科大学1984年卒
【専門分野】肝臓病学、消化器内科学
【取得資格】日本肝臓学会専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医、日本内科学会認定医、日本医師会認定医産業医、Fellow of American Association for the Study of Liver Diseases