2020年07月16日(木)
消化器内科
当院医師が開発した「S-Oクリップ」を用いた内視鏡的切開剥離術について
これまでは開腹手術で切除していた早期胃がん、早期大腸がんや大きなポリープも、内視鏡技術の進歩により外科的手術を行うことなく、内科的に完全切除できるようになってきました。当院では切除前に最新の拡大内視鏡を用いて病変を詳細に観察してから、治療方針を決定します。内科的治療が可能と判断した場合は、胃病変なら口から、大腸病変なら肛門から内視鏡を挿入し切開剥離術で病変を一括切除します。
当院では我々が開発した「S-Oクリップ」というクリップを使って安全かつ迅速な切除を可能にしています。「S-Oクリップ」は日本だけでなく世界各国でその有用性が報告されています。
“S-O”は当院の坂本直人医師(Sakamoto)と長田太郎医師(Osada)の頭文字が由来です。2008年にEndoscopyという海外ジャーナルに初めて発表しました。
<関連論文>
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- The facilitation of a new traction device (S-O clip) assisting endoscopic submucosal dissection for superficial colorectal neoplasms. Endoscopy. 2008 40 Suppl 2:E94-5.
- Endoscopic submucosal dissection of large colorectal tumors by using a novel spring-action S-O clip for traction (with video). Gastrointest Endosc. 2009 69:1370-4.
- Prospective clinical trial of traction device-assisted endoscopic submucosal dissection of large superficial colorectal tumors using the S-O clip. Surg Endosc. 2014 28:3143-9.
- Large superficial tumor of the colon involving a diverticulum removed by endoscopic submucosal dissection. Gastrointest Endosc. 2015 ;82:751.
< S-O クリップを用いた早期胃がんの切除例>
治療中は鎮静剤を用いて切除しますので苦痛なく治療を受けることができます。また、治療後も外科手術とは異なり傷口が痛むといったことはございません。切除後は食事を食べて問題がなければ退院が可能です。
早期胃がんや早期大腸がん、大きなポリープが見つかった場合は、消化器内科の担当医または、内視鏡治療担当の中津外来までご紹介、ご相談ください。患者さんに最もふさわしい治療法を提供します。