2024年08月19日(月)
循環器内科 小田切 史徳 准教授の論文が掲載されました。
循環器内科 小田切 史徳 准教授の論文が 「PACE – Pacing and Clinical Electrophysiology」に掲載(2024年8月12日付)されました。
【論文情報】
・雑誌名:PACE – Pacing and Clinical Electrophysiology
・タイトル:Clinical impact of cryoballoon posterior wall isolation using the cross-over technique in persistent atrial fibrillation
・著者:Fuminori Odagiri, Takashi Tokano, Tetsuro Miyazaki, Koji Hirabayashi, Kai Ishi, Hiroshi Abe, Sayaki Ishiwata, Midori Kakihara, Masaaki Maki, Hiroki Matsumoto, Ryosuke Shimai, Tadao Aikawa, Shintaro Takano, Yuki Kimura, Shunsuke Kuroda, Hiroyuki Isogai, Dai Ozaki, Tomoyuki Shiozawa, Yuki Yasuda, Kiyoshi Takasu, Kenichi Iijima, Kazuhisa Takamura, Tomomi Matsubara, Haruna Tabuchi, Hidemori Hayashi, Ken Yokoyama, Gaku Sekita, Masataka Sumiyoshi, Yuji Nakazato, and Tohru Minamino
・DOI:10.1111/pace.15058
・URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pace.15058
・掲載日:2024年8月12日
【本論文の概要】
心房細動に対するカテーテルアブレーションは、これまでに様々な治療法が報告されておりますが、肺静脈隔離術以外に有効な治療法は確立されておりません。有効性が比較的多く報告されている治療法の1つに左房後壁隔離術があります。
著者らは、クライオバルーンシステムによるクロスオーバーテクニック (左右から重ねるようにクライオバルーンアブレーションを行う方法) を考案し、これまでに同テクニックを用いた左房後壁隔離術を積極的に施行してまいりました。
本研究では、当院で施行した持続性心房細動に対する、クライオバルーンシステムによる肺静脈隔離術とクロスオーバーテクニックを用いた左房後壁隔離術の有効性と安全性の比較検討を行いました。
【ポイント1; 急性期達成率について】
クライオバルーンシステムのみによる左房後壁隔離術は必ずしも技術的に容易ではなく, これまでの報告では, 急性期達成率は54%~84%とされています。一方で、本研究で施行したクライオバルーンシステムのみによるクロスオーバーテクニックを用いた左房後壁隔離術の急性期達成率は, 99.1%と高い結果が得られました。
【ポイント2; 有効性について】
術後平均19カ月の観察期間において、不整脈非再発率は肺静脈隔離術群では72.9%でしたが、クロスオーバー テクニックを用いた左房後壁隔離術群では93.5%であり、左房後壁隔離術群で有意に不整脈の再発率が低いことが認められました (P = 0.011)。
【ポイント3; 安全性について】
術時間および透視時間は、クロスオーバーテクニックを用いた左房後壁隔離術群で有意に長い結果でしたが (P < 0.001)、両群ともに重大な合併症はみられなかったことから、クロスオーバーテクニックを用いた左房後壁隔離術の安全性が認められました。
【著者コメント】
これまで当院にて取り組んでまいりました、クライオバルーンシステムによるクロスオーバーテクニックを用いた 左房後壁隔離術の有効性と安全性が認められたこと、ならびに本研究がご評価いただけたことは大変光栄です。 本治療が1人でも多くの心房細動患者様の健康に貢献できるよう、これからも精進してまいります。今後ともよろ しくお願い申し上げます。