新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に対するワクチン接種が進んでおりますが、腎炎（特にIgA腎症）の患者さんではワクチン接種後に尿がオレンジ～赤黒くなる（下記図参照）いわゆる「肉眼的血尿」症例が散見されています。

日本腎臓学会・厚生労働省「難治性腎障害に関する調査研究」IgA腎症/ネフローゼ症候群ワーキンググループ合同研究班の全国アンケート調査（※1,2）によると、ワクチン接種後に肉眼的血尿や蛋白尿を含む尿所見異常がみられる症例が比較的高頻度にいらっしゃることがわかりました。この中には、これまでは軽微な尿所見異常（尿潜血±、尿蛋白を時々指摘されるなど）程度で、腎生検で確定診断がついていない方も含まれていました。なお、大部分の方は、肉眼的血尿は数日以内に消失し、現段階の報告では深刻な腎機能障害に至ってはいません。

ワクチン接種後の尿所見異常や腎機能の悪化を認めることを契機に、確定診断され、早期治療につながっている患者さんもいらっしゃいますので、新型コロナワクチン接種後に肉眼的血尿、蛋白尿や腎機能障害を認めた場合は、当科外来をご受診いただければと思います。尿所見や腎機能の経過を慎重に診させていただきます。

※1. https://jsn.or.jp/medic/covid19/notice/content-30.php（外部リンク）
※2. https://jsn.or.jp/medic/newstopics/formember/covid-19-52021730.php（外部リンク）

2021年12月7日
腎・高血圧内科