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MEDICALCARE

難治性潰瘍

【閲覧にあたり、ページ内の一部に疾患の状態や手術中の様子を示す写真が含まれることをご留意下さい。】

難治性潰瘍とは

治療に抵抗する潰瘍、即ち治りにくい潰瘍のことを「難治性潰瘍」と呼びます。

その背景には糖尿病等の基礎疾患や、創の治癒を妨げる複数の因子が存在する場合があり、それらの原因を明らかにして、取り除くことが治療に必要となります。

ここでは当院で行っている難治性潰瘍の治療についてご紹介します。

難治性潰瘍の原因・分類

1. 糖尿病性(神経原性)潰瘍

糖尿病に起因する末梢神経障害が主な原因となり生じる潰瘍です。その他、動脈硬化、免疫力低下、創傷治癒遅延も背景に存在することがあり、治療に難渋します。

2. 動脈性(虚血性)潰瘍

全身の動脈硬化性疾患に伴う潰瘍です。組織へ十分な血液が行き届かない(=虚血)の状態から潰瘍や壊疽を生じます。近年、高齢化、生活習慣病の増加に伴い、動脈硬化性疾患も増加傾向にあります。
治療には血流の改善、潰瘍の局所治療に加え、生活習慣の改善も重要になります。

3. 静脈うっ滞性潰瘍

主に下腿に生じます。下肢静脈瘤や下肢静脈灌流異常により生じます。長時間立ったままの姿勢や浮腫(むくみ)などが原因で、下肢の静脈血のうっ滞により血液循環が悪くなり潰瘍を生じます。

4. 膠原病・血管炎に伴う潰瘍

膠原病・血管炎そのものが原因で潰瘍が生じ悪化することがありますが、これらを患っている患者さんでは、ステロイドや免疫抑制剤を内服していることが多く、それにより免疫力低下、皮膚の脆弱性を来し、難治化することがあります。

5. 放射線潰瘍

放射線治療を受けた後に、皮膚に生じる潰瘍です。放射線治療後に時間が経過してから生じることも多く、皮膚の細胞が損傷を受けているため小さな潰瘍でも治療に難渋することがあります。

診断と治療方針の決定

上記のように難治性潰瘍の背景にはたくさんの原因・因子があり、それらを解明して除去することが治療の最も大事な部分です。そのため、内科(特に循環器内科)や整形外科、皮膚科、創傷を専門とする看護師、リハビリテーション科等各部門と密に連絡を取り、定期的にカンファレンスも開催しながら治療に取り組んでいます。

具体的には糖尿病の状態の評価、膠原病や血管炎の検索、血流評価等を行い、潰瘍の状態の診断および評価を行います。原因への治療と併せて、当科で潰瘍への直接的な治療を行います。

治療方法

基本的にはTIMEコンセプトという創傷治療の原則に沿って治療を進めます。

1. 洗浄・創浄化およびデブリードマン

潰瘍表面には浸出液やバイオフィルムとよばれる細菌のかたまりが形成され、放っておくと治癒を阻害し、さらには感染を来すおそれがあります。毎日潰瘍表面の汚れを落とし、創面の状態を綺麗に保つことで創治癒を進めます。石鹸で創部を洗浄することが効果的ですが、硬いバイオフィルムや壊死組織がある場合は、デブリードマン(=壊死した組織を軟膏や外科的に除去する)を行うことも必要です。

2. 感染の制御

患者さんや潰瘍の感染状態に応じて、抗菌薬を含む軟膏や、抗菌薬の内服、点滴投与を行い、感染のコントロールを行います。

3. 肉芽形成の促進

時期に応じて軟膏を使い分ける他、機械を使用した陰圧吸引療法を行うこともあります。潰瘍部分を密封保護して陰圧状態を作り、肉芽の形成を促進します。潰瘍からの浸出液や細菌を吸引・除去し、周りの血流を増加させる作用もあり、潰瘍治癒の期間を短縮させる効果があります。

4. 上皮化の促進もしくは外科的手術

保存的な治療(軟膏)で肉芽形成や上皮化が進まない場合は手術を行います。

1) 植皮術

肉芽形成が完了して、上皮化がされない場合、体の他の部分から皮膚を採取して移植します。

2) 皮弁術

腱や骨が露出しており、肉芽形成が得られにくい潰瘍では皮弁移植が必要となります。

3)

足の血管そのものが狭くなって血流の悪い場合には、循環器内科の先生に狭くなった血管を広げて貰う血管内治療を行なって頂き、血流を改善させた上で、適切な治療を検討します。

※火曜日午後に難治性潰瘍の専門外来を設けておりますが、専門外来以外での受診も承っております。