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MEDICALCARE

皮膚がん、軟部肉腫、皮膚腫瘍、皮膚外科

【閲覧にあたり、ページ内の一部に疾患の状態や手術中の様子を示す写真が含まれることをご留意下さい。】

皮膚腫瘍・軟部腫瘍・皮膚がん

皮膚軟部腫瘍は形成外科でも非常に良く扱う疾患で、ほくろやアザ、いぼといった様に皮膚表面に変化を生じるものから、「皮膚のできもの」や「脂肪のかたまり」と言われる様な皮膚の下に出来た固まりで皮膚が盛り上がっているものまであります。
原因となる細胞には実に様々なものがあり、中には悪性のものも存在します。悪性のものの中で皮膚の表面から出来たものはがん、脂肪や筋肉といった中の組織から出来たものは肉腫と言われます。
皮膚表面のできものは基本的に手術で切除して、その組織を調べて診断を確定しますが、その形や大きさ、できものの性質によって切除法や手順を工夫する必要があり、いぼ様のものの中にはレーザーや液体窒素で治療が可能なものもあります。

最近はダーマスコピー*という特殊な虫眼鏡の様なもので、切って取らなくてもできものの性質や良性・悪性の判定が出来る様になってきています。

皮膚より深い所にあるものは、MRIやCT、必要に応じてエコーなどの画像検査を行った上で、どこにどういう性質のものがあるかを考えて切除法を検討します。袋を作る嚢胞といわれるものの中には薬剤を注入する硬化療法が有効なものもあります。

適切な診断とそれに応じた治療が重要ですが、必要に応じて腫瘍を専門とする皮膚科や整形外科の先生とも密に連携を図りながら、整容面・機能面の双方に配慮した緻密な切除手術と生じた欠損に対する高度な再建手技を行っています。皮膚がんの中でリンパ節への転移を生じるものについては、アイソトープやICG蛍光色素を用いたセンチネルリンパ節生検(SNB)**を積極的に行い、適切なリンパ節転移の評価と伴に、不必要なリンパ節郭清を避ける低侵襲で体に優しい治療を心がけています。

*ダーマスコピー

ハロゲンランプや白色の発光ダイオードで病変部を照らし、偏光フィルターやゼリーで光の乱反射を抑え、真皮上層まで10倍~30倍程度に拡大して皮膚病変を観察する特殊なルーペ

特徴的な所見

【掌蹠の悪性黒色腫】
早期病変‥皮丘優位の不規則な色素沈着(色、太さ、分布)
生毛部では、不規則な色素ネットワーク構造
辺縁部での放射状線状、分枝状線条、点状・小球状黒色色素沈着
真皮浸潤部では‥無構造色素沈着、白色調ベール(Blue whitish veil)

【基底細胞癌】
青灰色類円形大型胞巣 葉状/車軸状領域
毛細血管拡張が樹枝状(病巣内及びその周辺)
多発性青灰色小球

**センチネルリンパ節生検

センチネルリンパ節というのはリンパ節の中で最初にがんの転移するリンパ節です。
最初に転移するリンパ節を調べて、もしそこに転移がなければ、それ以上先のリンパ節に転移している可能性は低いため、リンパ節郭清を省略でき、リンパ節への転移の有無も確実に診断出来ます。
センチネルリンパ節を見つける診断法として、色素や放射性同位元素(アイソトープ)を注入する方法(色素法、RI法)、さらにICGという薬品を注入して赤外線カメラでリンパの流れとリンパ節を同定する方法もあり、それらを組み合わせることで、小さな傷で確実にリンパ節を同定することが出来ます。

  • RI法での同定(鼠径部)

  •   

    リンパ節を採取

  • 赤外線カメラで同定

皮膚がん、皮膚悪性腫瘍

1.表皮細胞由来

基底細胞がん

表皮や皮膚付属器の基底細胞に似た細胞から生じた皮膚がんで、高齢者の目や口、鼻の周りなど顔面に生じることが多く(80%)、中には出来た部分の奥に浸潤して再発を繰り返すものもあります。
やや透光感のある表面平滑な黒色の結節が一般的ですが、見た目にはほくろと見分けが付かないこともあります。最近ではダーマスコピー*を用いることが組織検査をしなくても、診断することが可能になってきました。中には色の無いものや周りに拡がりやすいものもあります。

額に生じた基底細胞がん

上口唇部のもの

性状や組織の細胞の形から結節潰瘍型、瘢痕化扁平型、表在型、斑状強皮症型などに分けられますが、斑状強皮症型は再発しやすく拡がり易いので注意が必要です。

病理組織像(弱拡大)

病理組織像(強拡大)

全身に転移することは少なく、出来た部分のしっかりとした切除術が治療の基本になりますが、顔面に生じることが多いため、皮弁移植術などによる整容面にも配慮した再建が必要になります。

実際の治療例

必要最小限の切除幅で確実に取りきることが大切ですが、その再建もどこを切ってどのように再建するかを良く考えないとなりません。
腫瘍の性質と顔面の形態のバランスを考えた手術が必要になります。

①70代 男性 鼻背部基底細胞がん

鼻背部全体に拡大したがん

拡大切除と顔の周囲から
皮弁を移植

術後1年、再発無く
整容面でも経過良好

②70代 男性 内眼角部基底細胞がん(黒くなく赤いタイプ)

上下の内眼角にまたがる
基底細胞がん

頬と鼻からの皮弁を組み
合わせた特殊な再建法

術後1年半の状態
皮弁も馴染んでいる

③71歳 女性 右頬部の大きな基底細胞がん

右頬部で大きく成長
中央は潰瘍化している

全体的に隆起している
皮弁移植と放射線も併用

術後3年の状態
再発無く経過良好

有棘細胞がん(扁平上皮がん)

表皮の中のケラチノサイトという部分から生じた皮膚がん。
ひとつの紅い小さな盛り上がりとして出来はじめ、徐々に拡大して硬いできものになったり腫瘤や治りにくい穴(潰瘍)になったりします。表面が腐って深い穴になったり、表面がグジュグジュしてくさい臭いを生じることもしばしばあります。
皮膚のいたんだ所や他の皮膚病になっている場所(前駆症状または発生母地)に時間が経ってから出来ることも多く(瘢痕がん、20-30年と長い年月が過ぎてから出来る)、怪我や火傷の瘢痕、放射線治療の痕、白板症や色素乾皮症などでは注意が必要になります。
少し変わったタイプとしてイボの様な形をする、疣状有棘細胞がんというタイプもあります。50代と比較的若い年齢に生じることも多く、肺など他の臓器に転移することもあります。

治療はしっかりと切除する手術が中心で、状況により放射線治療を行うこともあります。化学療法は転移例などを除き一般的にはあまり行いません。できものが大きいことも多く、大がかりな再建手術が必要になることもしばしばで、リンパや血液にのって転移することもあるため、必要に応じてリンパ節に対する手術も行います。

実際の治療例

有棘細胞がんは、火傷やけがなどの瘢痕の上に生じることが有るため、切除の際にはそれらの前駆病変と伴に切除することも時に必要になります。また、深い所に浸潤したり、リンパ節・肺など他の臓器に転移することが有るため、センチネルリンパ節生検(SNB)**を行うなどその病変の状態に応じた切除術が必要となります。

①60代 男性 右手母指背側熱傷瘢痕がん(幼少時の火傷部に生じた有棘細胞がん)

火傷の瘢痕上に増大した
皮角様に突出した腫瘍

火傷の瘢痕部も含めて切除
腱にも浸潤した為合併切除

術後3年前腕からの皮弁で
再建し経過良好。SNBも施行。

②70代 男性 左下口唇部の有棘細胞がん(赤く盛り上がり表面は潰瘍化)

びらんと潰瘍を伴う紅色の
結節病変

唇の半分以上の切除が必要
粘膜も含めた皮弁で再建

術後2年の状態。下口唇の
機能・形態とも非常に良好

③50代 男性 臀部の有棘細胞がん(膿皮症の瘢痕部に発生。植皮術の既往も)

臀部中央に生じた非常に大きな
悪臭を伴う結節潰瘍

拡大切除と大腿からの
皮弁移植。SLNも施行

術後1年半で再発転移なく
排便・坐位なども問題なし

Bowen病

表皮内に限局された癌で、境界明瞭な楕円形~環状の淡紅~暗褐色の浸潤性局面になります。軽度隆起性で鱗屑又は痂皮を被うので、湿疹様に見えることがあります。多発するものでは砒素、単発では紫外線、ウイルス(HPV)などと関連するものがあります。
躯幹特に外陰部、背部に多く発生します。治療は切除術になります。

日光角化症

紫外線が原因で生じた表皮ケラチノサイトの異常。淡紅褐色の小さな局面を呈します。紫外線の影響を受ける高齢者の顔面、手背などの裸露部に生じます。軟膏で治療してもなかなか赤みのひかない顔面や手背の皮疹には注意が必要です。
表皮内に限局されたがんですが、有棘細胞がんに移行するためきちんとした治療が必要になります。治療は切除が行われていましたが、最近では外用薬での治療が可能なものもあります。その他、光線を利用した治療も試みられています。

※紫外線による発癌については、UVBが関与。一生の間に受けた日光の総照射量により決まるといわれています。高齢者の日光露出部位では、紫外線効果の蓄積によるDNAの修復障害がみられ、そのエラー修復が同部での発がんを生じます。

 

2.皮膚付属器(毛穴、皮膚の脂の線、汗の線など)由来

乳房外Paget病

アポクリン腺という汗の腺の一種又は導管上皮などから生じる腺がん。
外陰部に一番多く、湿疹の様な紅斑として始まり後に湿潤、びらん面を呈するため、湿疹や真菌症(インキン)として長期治療されていることも多いため注意が必要です。紅斑周囲や離れた部位にしばしば色素沈着や逆に白斑が散在することもあります。 肛囲、腋窩にも生じ、時に所属リンパ節腫脹や転移を伴います。
治療は切除手術が基本になります。
Paget細胞が散在性あるいは集簇性に胞巣を形成し、病巣周辺の一見健常皮膚に見える所にもPaget細胞が存在する(subclinical Paget’s condition)ため、あらかじめ周りの皮膚をたくさんの部位で検査することが必要になります(Mapping biopsy)。その上で、手術時に広範囲の切除を行います。 

その他:脂腺がん、汗管がん、毛包がん

 

3. 神経堤起源細胞性悪性腫瘍 メラノサイト由来

悪性黒色腫

「ほくろのガン」といわれ、しばしば転移を起こして命を落とす、悪性度の高い皮膚がんであるため、確実な診断と治療が必要になります。
基本的にいわゆる“ほくろ”が“がん”になることは無いと言われていますが、出来始めがほくろと似ているのでその鑑別が重要で、最近はダーマスコピー*が使われる様になって、切らなくてもその診断がつきやすくなってきています。ただし、大きなもの(特に生まれつきある巨大母斑)はがん化することがあり、注意が必要です。紫外線が皮膚の色をつくるメラノサイトの核DNAを傷害することから始まるといわれています。
日本人は足に生じやすいのが特徴で、足のものは悪性黒色腫の中でも転移を起こしやすく注意が必要です。また、悪性黒色腫の重傷度(Stage)は、大きさよりもその深さで決まります(Breslow scale)。

治療には、きちんとした拡大切除手術と化学療法が必要で、最近では様々な新しい薬も開発され、より良い治療結果が得られる場合もあります。また、リンパを通って転移するので、センチネルリンパ節生検やリンパ節の郭清、さらにその通り道を考えた再建法が必要になります。
生検を行い診断が付いた場合には、なるべく早く(出来れば2週間以内)手術を行うことが必要です。 形成外科では主に手術を担当しますが、診断や総合的な治療について皮膚科の先生と協力して治療を行っていきます。

見た目の特徴やタイプなどについては下記の通りです。

・見た目の特徴(臨床的特徴:ABCD)
1) Asymmetry:形の不整
2) Border irregularity:境界が不明瞭
3) Color variegation:色の不整(濃いところと薄いところがある)
4) Diameter>6mm:直径が6mm以上

・タイプ分類
1) 結節型(nodular melanoma:NM)など黒褐色、漆黒色の結節
2) 表在拡大型(superficial spreading melanoma:SSM)‥班、局面状
3) 悪性黒子型(lentigo maligna melanoma:LMM)‥顔面に好発
4) 末端黒子型(acral lentiginous melanoma:ALM)‥足底、指趾爪部

・ダーマスコピーでの特徴
良性パターン:Pararel furrow, Latislike pattern,
Fiburillar pattern
悪性パターン :Pararel ridge, Iregular Streak, Blue whitish veil,

実際の治療例

必要最小限の切除幅で確実に取りきることが大切ですが、その再建もどこを切ってどのように再建するかを良く考えないとなりません。
腫瘍の性質と顔面の形態のバランスを考えた手術が必要になります。

①60代 男性 足底部の大きく拡がった悪性黒色腫

拡大切除と伴にSNBを施行
組織でその病期を見極めます

足の荷重部には体重に耐え
得る再建を行います

術後の経過は良好で
歩行も問題無く行えます

② 60代 女性 踵部の結節型悪性黒色腫(やや赤みがかり血管拡張性肉芽腫様)

隆起と赤みの強い腫瘤

拡大切除を行い、下腿の裏からの
皮弁移植で再建を行っています

術後1年半の状態
歩行も出来良好

③ 70代 男性 右頚部の結節型悪性黒色腫

盛り上がる結節で
染みだし像も存在

広範囲の切除及び頚部のリンパ節を郭清
背中からの皮弁を頚の血管に繋げて移植

術後1年の状態
再発転移を認めず

2. シュワン細胞由来
悪性神経鞘腫、悪性顆粒細胞腫

 

軟部悪性腫瘍

身体の軟部組織というのには、皮膚の下の脂肪や筋肉、血管、結合組織などがあり、皮膚表面よりも深いところに出来ます。一般的に「肉腫」という呼び方をしますが、転移を生じ命に関わること腫瘍が多いため、充分な注意が必要になります。
治療は大きく切り取る切除手術の他に、抗がん剤を用いた化学療法や放射線治療も組み合わせた集学的な治療が必要になることがあります。整形外科の専門の先生と協力して治療にあたります。

1. 線維芽細胞由来
隆起性皮膚線維肉腫、悪性線維性組織球腫、粘液肉腫

2. 脂肪細胞由来
脂肪肉腫

3. 筋組織由来
平滑筋腫、横紋筋肉腫

4. 脈管由来
血管肉腫、リンパ管肉腫

良性腫瘍

1. 表皮細胞由来

【粉瘤(表皮嚢腫)】
最も一般的な皮膚のできもの。皮膚表面の成分が袋を作って、その中に粥状の垢や膿が溜まったものです。
赤く腫れてしまうこともあるので、なるべく腫れる前に手術で取り除くことが望ましいと考えられています。

【皮様嚢腫】
胎生期の皮膚の埋入で出来ると言われ、目の回りに良く出来ます。
奥が深く骨まで続いていることがあるので入院治療が必要な場合があります。 

【脂漏性角化症】
老人性疣贅ともいわれ、いわゆる皮膚の年齢的変化で生じるものです。
表面がかさかさして少し隆起します。
その他:表皮母斑、ケラトアカントーマ

2. 皮膚付属器由来

【石灰化上皮腫】
毛穴の一部から出来ると言われ、子供の頃に多くみられます。名前の通り石の様に硬めのできものが皮下に出来ます。

【脂腺母斑】
生まれた時にはやや赤みのある髪の毛の生えない斑状ですが、年齢とともに見た目の感じも変化して、徐々に盛りあがっていぼ状になり、茶褐色へと変化していきます。頭に出来ることが多く、脂腺母斑の上に皮膚がんが出来る可能性があるため、ある程度の年齢で切除してしまうことが必要になります。

皮膚混合腫瘍

3. 神経堤由来

【色素性母斑】
いわゆるほくろになります。母斑細胞が皮膚の表面近くに集まって色素を作るためにできる褐色又は黒色に見えるアザです。「ほくろ」といわれる小さなものから、大きな拡がりをもつ「母斑」といわれるものまであります。「母斑症」といわれ、遺伝や他の病気と同時に生じるものもあり、その診断には専門的な知識や検査が必要になります。治療には、がんであるかどうかの見極めが大事で、時には組織の検査をする必要があります。
良性のものであれば治療の方法は様々で、電気やレーザーでアザを薄くしていく方法とメスで切り取る方法に大きく分かれます。大きなものは何回かに分けて手術をしたり、皮膚を移植したり、周りの皮膚を拡げたりと色々な工夫をしなくてはならないこと が多く、専門的な治療が必要になります。

 

 

【扁平母斑】
皮膚の色をつくるメラニンが皮膚の浅いところに増えて出来る、平らなくっきりとした茶色のアザです。
生まれつきあるものが殆どですが、数の多いものには神経線維腫症といった全身の病気がひそんでいることもあり、注意が必要です。大人になってから出来る肩や腰の周りに出来るものはベーカー母斑とも呼ばれ、毛が生えることもあります。治療にはレーザーや切除の手術が行われますが、レーザーでは再発してくることもあり、治療に難渋することもあります。

【蒙古斑(異所性)、太田母斑、青色母斑】
色素細胞(メラノサイト)が皮膚の深いところ(真皮)に集まって出来るアザで、生まれつき又は生まれて間もなく出来るものや思春期以降の大人になってから出来るものがあります。生まれつきあるものの代表には蒙古斑があり、殆どの人のおしりや背中にあって学童期には自然に消えていきます。ただし、足や腕など通常あまり出来ない場所にある蒙古斑を異所性蒙古斑と呼び、消えにくいため治療の対象になることがあります。
目の周りや頬を中心とした片側顔面に出来る青アザの代表には太田母斑があり、思春期以降の女性に多いのが特徴ですが、乳児期から濃くなっていくものや両側に出来るものもあります。また、肩の周りにできる同じ様なアザは伊藤母斑と呼ばれます。治療にはレーザーが用いられ、反応も良好なので、各々にあったあて方を考えていきます。
神経鞘腫、神経線維腫(Neurofibromatosis)

 

4. 間葉系由来

【脂肪腫】
脂肪細胞が大きくなったもので、いわゆる「脂肪のかたまり」ですが、筋肉内の深いところに出来ていたり、稀に悪性のものもあるため、きちんとした検査を行った上で必要に応じて摘出術を行います。

【その他】
皮膚線維腫、毛細血管拡張性肉芽腫、グロムス腫瘍、黄色腫、ケロイド

5. 唾液腺由来

【耳下腺腫瘍】
耳の前に出来るできものの中には、よだれを作る耳下腺から出来るものもあります。良性のものには多形腺腫と呼ばれるものが多いですが、再発を生じやすく長い経過でがんになることもあるため、正常な耳下腺も含めて大きく切除を行う必要があります。耳下腺の中には顔を動かす顔面神経が複雑に走行するため、その切除には高度な技術と経験が必要になります。また、残った耳下腺組織の影響で食事の時によだれの代わりに耳の前に汗をかく様になることがあります(Frey症候群)。その予防の為に首の筋肉を血の巡りを保ったまま移植することを行う場合もあります。
顔面神経の切除が必要となった場合でも適切な再建も専門的に行っています。良悪性の判断も含め、頭頸部外科の先生と協力して治療に当たることもあります。

【右耳下腺腫瘍(多形腺腫)】

右耳下腺内の腫瘍を耳下腺の浅い部分と伴に切除します。図にある様な色々な神経や血管に注意しながら切除を行い、必要に応じて筋肉を弁状にして移植します。

Hayashi A, Mochizuki M, Natori Y, et al.: Effectiveness of platysma muscle flap in preventing Frey syndrome and depressive deformities after parotidectomy J Plast Reconstr Aesthet Surg. 69(5):663-72, 2016より