乳房再建
乳房再建術について
乳房再建術とは、乳がん手術により失われた乳房や形の変わってしまった乳房を再び取り戻す手術で、以下の様なメリットがあります。
1.乳房の喪失感が解消される。
2.「今までと同じ洋服」や「胸の開いた洋服」を着ることができる。
3.水着でプールに入れる。
4.温泉旅行を楽しめる。
乳房再建のタイミング
乳房再建を行う時期により、以下のような呼び方があります。
1.一次再建 乳がんの手術と同時に行う再建手術です。
2.二次再建 乳がんの治療が一段落ついた頃に行う再建手術です。
乳房再建の方法
乳房再建の方法は、大きく分けて、自家組織(患者さんの身体の一部)による再建と組織拡張器(以下、エキスパンダー)を用いた人工乳房(シリコンインプラント)による再建があります。
代表的な乳房再建の流れをご説明します。
1.エキスパンダーを胸の筋肉の下に埋め込みます。
当院外科にて乳房切除術を行った後、形成外科にバトンタッチをして再建を行います。過去に乳房切除術を受けられている方は、形成外科で入院し手術を行います。手術の後は、数週に一度外来でエキスパンダーに生理食塩水を注入します。拡張は、反対側の乳房よりある程度大きくなるまで行います。拡張の終了後、胸の皮膚の伸展を待ってから乳房再建を行います。自家組織、あるいは人工乳房(シリコンインプラント)のどちらの方法で再建を行うかは外来で相談させて頂きます。
2.自家組織による再建
下腹部を使用する方法(腹直筋皮弁)と、背部を使用する方法(広背筋皮弁)があります。
①腹直筋皮弁
下腹部の皮膚、脂肪、筋肉の一部および血管を含めて移植する方法です。
以下の患者さんに向いています。
・乳房の大きな方や下垂のある場合
・定型的乳房切断術後の方で大きな組織が必要な場合
下腹部に横方向の傷が残りますが、下着に隠れるように配慮しています。
②広背筋皮弁
背中の皮膚、脂肪、筋肉の一部を移植する方法です。
以下の方に向いています。
・将来妊娠出産の予定がある場合
・乳房が比較的小さな方や部分切除後の再建
・腹部に手術の傷跡があり腹直筋皮弁が使用できない場合
背部に直線状の傷が残ります。
3.人工乳房(シリコンインプラント)による再建
全回の胸の傷からエキスパンダーを取り出し、シリコンインプラントに入れ替えます。
手術時間は2時間程度で、入院期間は3~4日程度(最短2泊3日)です。
良い点
他の部分に傷が残りませんので、お身体の負担が少なくなります。
悪い点
人工物のため、感染や被膜拘縮などの合併症の可能性があります。
自家組織と比べ、異物感が残ります。
将来、入れ替え手術が必要になることがあります。
また、放射線治療後など皮膚の伸展性が十分でない場合や大きく下垂した乳房などの場合には、お勧めできないことがあります。
4.乳頭乳輪再建
乳房再建の後、傷が落ち着いてから手術を行います。反対側の乳頭、乳輪を移植する方法や再建乳房の一部を細工し、大腿部から皮膚を移植する方法、刺青(タトゥー)をする方法などがあります。どの方法にするかは、反対側の乳頭、乳輪の大きさや再建乳房の皮膚の状態、患者さんのご希望で選択をします。入院をして頂く場合と日帰り手術の場合があります。
乳房再建のご希望がある方、あるいは、乳がん手術をすでに終えられ再建のご希望がある方など、どうぞお気軽に形成外科外来までお訪ねください。
乳輪乳頭再建
※月曜日午後に乳房再建の専門外来を設けております。
完全予約制のため、ゆっくりとご相談いただけます。